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カルナータカ口琴
・ モルシン

モルシンは、鉄製の口琴である。南インドでは、口琴はモルシンと呼ばれる、と言ってもよい。地方によってはMUHARSINGH、MUKHASANKHAなど名称のヴァリエーションは多いが、いずれにしてもその語源はヴィシュヌ神の聖なるシンボル、SANKHU(法螺貝)に遡る。MUKHAはタミル語などで「顔」、サンスクリット語で「顔」または「口」を指す。ちなみにインドでは古来から、法螺貝は聖なる楽器とされてきた。現在も然るべき場で鳴らされている。
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世界各地に見出せる口琴文化のなかで、カルナータカ音楽で使用されているモルシンの特異性は、ひとえにそれがパーカッションとして使用されている、という点にある。もちろん、スタイルとしてパーカッシブに演奏される口琴(例えばインドネシアのゲンゴン)や、リズミカルな音楽に口琴が効果的に使用される例も数多く見出せる。しかし、演奏形態のなかで太鼓らとともにリズムセクションとして確立された地位を与えられている例は極めて少ない。その点、ネパールの民俗音楽に使用される口琴(鉄製がムルチュンガ、竹製がビナヨと呼ばれる)には同様のことが言えるが、モルシンは古典音楽(芸術音楽)のなかで、ソロを含め多くの責任ある仕事を義務付けられている。もっとも、モルシンはカンジーラ、ガタムなどと同様、民俗音楽に使用されてきたものが古典音楽に応用され、現在に至っている。モルシンに関して、20世紀初頭に素晴らしい想像・創造力をもってこの偉業を成した人物は
Aadhichapram Sitarama
Iyerである。彼以降、多くのモルシンプレーヤーが出現することとなった。
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例外的にパーカッションアンサンブルの演奏会・録音というのはあるが、基本的カルナータカ音楽は声楽曲であり、ヴォーカルの代わりにヴィーナやヴァイオリンをはじめ器楽がリードする場合は、(各々の楽器の特性を生かしつつ)声楽を模倣して演奏される。モルシンはムリダンガムを筆頭にこれの伴奏をするのである。ムリダンガムの即興的な伴奏に追従しつつ、メロディーにぴったりと寄り添ったり、他の楽器とのかけ合いやリズミカルなフレーズの反復、リズムや音色におけるアクセントの提供など、非常に効果的で魅力的な演奏領分を持つ。また、楽器の特性上、倍音の操作という無限の可能性を持つという点は特に重要である。
そして演奏会のクライマックスには、ソロ及びパーカッションアンサンブルを披露するが、これをThani
Arvarthanamと呼ぶ。演奏会のひとつの大きな見どころであり、パーカッション奏者にとっての大きな見せどころである。モルシン奏者たちは皆、個性豊かな自身の演奏スタイルを確立しており、それをいかんなく発揮するべく健闘する。
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ところで、現在、優秀な若手モルシンプレーヤーは少なくない。しかしガタムやカンジーラに比べると、演奏者の絶対数、登場の頻度はかなり少ない。そして残念なことに、実際それらは減少傾向にある。
2006年7月、アムステルダムで開催された第5回世界口琴大会では、Bangalore
B.Rajashekarらによるパフォーマンスが世界中の口琴ファンに衝撃を与え、大喝采を浴びた。それ以外にも近年、著名なアーティストの伴奏者として海外での出演を果たしたモルシンプレーヤーも多い。これらを機に、インド国内だけでなく世界中でのモルシンの認知・理解の拡大と、更なるクオリティの向上が切に望まれる。
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法螺貝 /
SANKHU
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ムルチュンガ
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演奏風景 (photo by AKIRA IO)
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2007年11月 L.Subramaniam
日本公演
モルシン演奏 : Ghantasala Saitya
Sai
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